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ウースター・グループ

初期シェーカー聖歌:レコード・アルバムの上演

 

出演:シンシア・ヘッドストロム、エリザベス・ルコンプト、フランシス・マクドーマンド、ビビ・ミラー、サジー・ローチ/マックス・バーンステイン、マシュー・ブラウン、モデスト・フラコ・ヒメネス、ボビー・マクエレバー、ジェイミー・ポスキン、アンドリュー・シュナイダー
演出:ケイト・ヴァルク
装置:エリザベス・ルコンプト、ジム・クレイバーグ
照明:ジェニファー・ティプトン、ライアン・シーリグ
衣装:エンヴァー・チャカルタシュ、ナオミ・ラダッツ
音響:ボビー・マクエレバー、マックス・バーンステイン
プロダクション・マネージャー:エミリー・レイ
舞台監督:エリン・マリン
ツアー技術監督:エリック・ダイアー
演出助手:ジェイミー・ポスキン
制作:シンシア・ヘッドストロム
ゼネラル・マネージャー:パメラ・ライケン
マーケティング・マネージャー:マイク・ファリー
アーカイブ:クレイ・ハパス
ビデオ「DAILIES」・記録:ズビグニエフ・ビジメク
[東京公演スタッフ]舞台監督:尾崎聡|機材・装置:吉田佳弘(株式会社エディスグローヴ)、浦弘毅(株式会社ステージワークURAK)|照明:中山奈美|翻訳・字幕:新井知行|記録:前澤秀登(写真)|協力:溝端俊夫

 

12月22日(火)19:15開場/19:30開演
12月23日(水・祝)15:45開場/16:00開演、18:45開場/19:00開演

*会場ロビーにてウースター・グループの他作品の映像展示あり(ロビー開場は開演1時間前)

前売 3,500円/当日 4,000円

前売お取り扱い:Peatix

 

ニューヨーク最強の前衛劇団、聖歌のレコードを「上演」する異色作で初来日

 

テクノロジーを縦横に用いた重層的な演出、その情報量とスピード感で設立40年にして現代演劇の最先端を走るウースター・グループ。その作品の多くは、戯曲だけでなく映画、映像資料、個人史、他者のパフォーマンス、そしてレコードなどを素材に、精密なコピーと再解釈を通して作られています。『初期シェーカー聖歌』で素材になっているのは、1963年から76年にかけてメイン州のサバスデイレイクで録音された同名のレコード。ウースター・グループのディレクター、エリザベス・ルコンプトは、中古レコード店の「宗教」コーナーでLP『初期シェーカー聖歌』を見つけ、劇団員を引き連れてシェーカーのコミュニティを訪問し、同レコードのリードシンガー、シスター・ミルドレッド・バーカーと面会。以来レコードはウースター・グループの共有ライブラリーに35年置かれていました。

 

Photo by Paula Court

クエーカー(キリスト友会)から分離したシェーカー(キリスト再臨信徒連合会)は、神を男女の二重性において把握し、指導者マザー・アン・リーがキリストの女性としての出現、イエスが男性としての出現であると信じ、生殖行為こそが原罪であると考え、18世紀から禁欲主義と男女同権を実践。イギリスからアメリカに渡り、コミュニティを各地に形成し、成員を入信者獲得、孤児やホームレスの受け入れ、養子縁組などで増やしたこのセクトは、最盛期には6,000人を超える信者を擁しました。南北戦争では良心的兵役拒否の先駆となり、勤勉さと美学の高さでも知られ、とりわけ、機能的で洗練されたシェーカー家具はモダンデザインにも大きな影響を与えています。そして、作曲されるのではなく「授けられる」数々の聖歌は、単旋律で伴奏なしで歌われ、独特の集中力と美しさで教徒以外にも愛されてきました。

Photo by Paula Court
 

クエーカー(キリスト友会)から分離したシェーカー(キリスト再臨信徒連合会)は、神を男女の二重性において把握し、指導者マザー・アン・リーがキリストの女性としての出現、イエスが男性としての出現であると信じ、生殖行為こそが原罪であると考え、18世紀から禁欲主義と男女同権を実践。イギリスからアメリカに渡り、コミュニティを各地に形成し、成員を入信者獲得、孤児やホームレスの受け入れ、養子縁組などで増やしたこのセクトは、最盛期には6,000人を超える信者を擁しました。南北戦争では良心的兵役拒否の先駆となり、勤勉さと美学の高さでも知られ、とりわけ、機能的で洗練されたシェーカー家具はモダンデザインにも大きな影響を与えています。そして、作曲されるのではなく「授けられる」数々の聖歌は、単旋律で伴奏なしで歌われ、独特の集中力と美しさで教徒以外にも愛されてきました。

 

女優たちはイヤーモニターで、おそらく明瞭に、レコードの音を聴いている(『初期シェーカー聖歌』は、ウースター・グループとしてはローテクな作品だが、ノーテクではない。彼女らが着ている質素なシェーカー的衣服には、音響機材が取りつけられている)。オリジナルのレコードの音はかすかに、背後で聴こえている。繊細で不思議な聴覚的効果がそこから生まれる。ある種幻視的に、過去、あるいはこう言ってよければ永遠性が、現在に取り憑く。 [...] 出演者たちは自身が肉化する女性たちへの敬意以外の何も持っていない。しかしその再現行為には甘ったるい崇拝はない。そこにあるのは、アーティストたちと彼女らの先駆者たちの間の真の交感だ。

ベン・ブラントリー [1]

 

リチャード・マックスウェルによるケイト・ヴァルクインタビュー
リチャード・マックスウェルによるケイト・ヴァルクインタビュー
リチャード・マックスウェルによるケイト・ヴァルクインタビュー

 

ウースター・グループの創立メンバーにして初めて演出を担当するケイト・ヴァルクは、この作品は史学的でも宗教的でも人類学的でもないと言います。ヴァルクをはじめ、この作品で初めて舞台に上がるルコンプト、『ファーゴ』でアカデミー主演女優賞を受賞したフランシス・マクドーマンド、ボーカルグループ「The Roches」のメンバーでもあるサジー・ローチ、ウースター・グループのプロデューサーでもあるシンシア・ヘッドストロム、振付家ビビ・ミラーという女性キャストが共有するのはシェーカーの簡素な美学的実践への関心であり、そのためか、この作品はウースター・グループの他の作品と比べれば重層的でも技術的に複雑でもありません。女性キャストは、歌い手のインタビューを含むレコードの内容を忠実に「上演」するための「媒介」に徹し、後半は男性キャストと共に、さまざまなソースを用いて再構成されたシェーカーのダンスを踊ります。セノグラフィより深いウースター・グループの本領、「模倣」としての演劇の力が最大限発揮された異色作をお見逃しなく。

 

 

 

 

ウースター・グループ|エリザベス・ルコンプトとスポルディング・グレイによって1975年に創設されて以来、ルコンプトの演出で30作を超える演劇、ダンス、映画、ビデオ作品を発表。代表作に『Rumstick Road』(1977)『L.S.D. (...Just the High Points...)』(1984)『Frank Dell’s The Temptation of St. Antony』(1988)『Brace Up!』(1991)『The Emperor Jones』(1993)『House/Lights』(1999)『To You, The Birdie!』(フェードル)(2002)『Hamlet』(2007)『There is Still Time..Brother』(2007)『La Didone』(2009)『Vieux Carré』(2011)『Cry, Trojans!』(トロイラスとクレシダ)(2014)など。ロウアー・マンハッタンのウースター・ストリート33番地にあるパフォーミング・ガレージを拠点に、南北アメリカ、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアをツアー。パフォーミング・ガレージは、1960年代にフルクサス芸術運動の一環として設立されたGrand Street Artists Co-opの一部。

 

[1] ニューヨーク・タイムズ、2014年5月29日